2016年09月20日

勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」 その2

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 18:24:23.70 ID:WNVHldV5o
勇者「どうも。もういいですよ」
兵士「は、はぁ」
勇者「大人しくしてたか?」
狼少女「あい」
兵士「問題なく大人しかったですよ。黙って座ってましたし。ただ勇者殿が出てきた瞬間、走り出して……」
勇者「大人しくしてねえじゃん。嘘ついたのかよ。謝れ」
狼少女「すまん」
兵士長「それより明日から大仕事だ。その子のことどうするか今日中に決めろよ」
勇者「わかってるっすよぉ」
兵士「それでは自分も持ち場に戻ります」
勇者「あざしたぁ。先輩、今度は一緒に仕事できそうっすね」
兵士長「頼りにしてるぜ、勇者様」
勇者「頼ってくださいっすよ。それじゃ。また明日。お前も挨拶ぐらいしろ」
狼少女「ばいばい」
兵士長「おーう。しっかり休めよぉ」124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 18:31:43.90 ID:WNVHldV5o
宿舎 勇者の部屋
勇者「で、狼に育てられたのは本当なのか?」
狼少女「あい」
勇者「どんなこと教えてもらった?」
狼少女「狩りのやりかた。獲物の息の根の止め方」
勇者「へぇー。どんな感じ?」
狼少女「ガァァァウ!!!!」ガバッ
勇者「くっ……!?」ググッ!!!
狼少女「ガルルルル……!!!!」
勇者「分かったからすわれ!!」
狼少女「……」
勇者「なんで俺についてきたんだ?」
狼少女「お前、仲間傷つけた。ゆるさない。殺すまでつきまとうつもり」
勇者「……なぁ、ナンパできなくなるからやめてくれないか? ほら、親代わりの狼も森でお前の帰りを待ってるだろうしさ。ここは素直に……」
狼少女「やだ」



125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 18:40:42.35 ID:WNVHldV5o
勇者「勘弁してくれよ……」
狼少女「はらへった」
勇者「しらねーよ」
狼少女「はらへったぁ」ガブッ
勇者「いてぇよ。自分で何か狩ってこいよ。狼に育てられたんだろ?」
狼少女「わかった」
勇者「待て待て。冗談だよ。んなこと町でされたら俺が困る」
狼少女「あぁー? はらへった」
勇者「ちょっと待ってろ……。えーと……。あぁ、あった。ほら、パンでもかじってろ」ポイッ
狼少女「あう」モグモグ
勇者「(最悪だ……。どうにかして森に……。そうだ。どうせ魔女狩りに出るんだから、森へ行って……)」
勇者「よし。そうするか」
狼少女「くった」
勇者「おう。そうか」
狼少女「うまかった。もっとないのか」



127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 18:48:33.17 ID:WNVHldV5o
城内 中庭
兵士長「(魔女……。どんな奴だろうね。陛下の読み通り、一連の事件の犯人だとするなら、幻覚に気をつけねぇと同士討ちで自滅も……)」
勇者「ほーら」ポーイッ
狼少女「がうー!!」タタタッ
勇者「狼っつーより、犬だな」
兵士長「よう、旦那。球遊びとは楽しそうだなぁ」
勇者「先輩。うぃーっす。楽しそうにみえるっすか?」
兵士長「見えるぞ。変態にも見えるがな」
勇者「あいつが退屈で死にそうとか喚きだしたんでしかたなくっすよ。部屋の食料殆どの食べるし、マジ疫病神っすよ」
兵士長「ハハッ。昔から獣とガキにはモテるから、どストライクだな」
勇者「先輩、俺はーー」
狼少女「あうあうっ」
勇者「おかえり。もう一回行ってこい」ポーイッ
狼少女「がうー!!」タタタッ
兵士長「なんだ。飼うのか?」



128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 18:58:38.24 ID:WNVHldV5o
勇者「飼わないっすよ。明日、町を出て森に帰してくるつもりっすから」
兵士長「そうなのか。もったいねえ。折角お前のことを好いてくれてるお嬢さんなのによ」
勇者「殺したいほど好かれたくはねえっす」
兵士長「そうかい? おっ。てことは今日は一緒に寝るのか? ヒュー。やるじゃん。ド変態野郎っ。このこの」
勇者「なわけないでしょうが!!!」
兵士長「風呂にもいれてやらないといけねえし、下の世話もあるし、大変だな」
勇者「あとで教会に行くんで、そこで今晩だけ預かってもらうつもりっす」
兵士長「教会に用事でもあんのか?」
勇者「ふっ。可憐なシスターが俺のことを待ってくれているんすよ」
兵士長「ほーぅ?」
勇者「実をいうとわかってたんすよね。俺の伴侶は彼女しかいないって」
狼少女「あうあうっ」
兵士長「この子のことか」
勇者「お前じゃねーよ!!! おらぁ!!!」ポーイッ
狼少女「がうー!!!」タタタッ



129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:05:16.12 ID:WNVHldV5o
夜 教会
勇者「ほら。ここでは一言も喋るなよ。静かにしてないといけないなんだから」
狼少女「あい」
シスター「あ……」
勇者「約束通り、来ました。君へ懺悔するために」
神父「ほう。この方が……」
シスター「ええ……」
勇者「どうも、初めまして。ところでこの子のことこき使いすぎですよ。毎日毎日水汲みさせて。倒れたらどうするつもりですか?」
神父「はぁ……。シスターとしての仕事ですから」
勇者「それにしたって……!!」
シスター「あの、お話のほうを……」
勇者「聞いてくれますか?」キリリッ
シスター「是非、聞かせてください。どうぞ、こちらへ」
勇者「はぁーいっ! お前はここでお座りしとけ」
狼少女「あい」



130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:17:08.04 ID:WNVHldV5o
懺悔室
勇者「俺、この世に生を受けてから女性とお付き合いをしたことがないんです」
シスター「そうなのですか」
勇者「あなたは?」
シスター「私は修道女です。そういうことは……」
勇者「おっと。失礼しました。そうですよね。しかし、こんなにもお美しいのだから恋をしたほうがいい。より貴方は綺麗になれる。ご趣味は?」
シスター「続けてください」
勇者「ああ。申し訳ない。脱線しましたね。幾ら町で声をかけても相手にしてもらえません」
勇者「何がダメなのかと悩む日々でした。安定した収入さえあればモテると恋愛マニュアルにも書いていたのでがんばって兵士になったのに結果は変わらず」
勇者「勇者になればモテると言われ、血の滲む努力をしても女の子の柔らかさを知るだけに留まっている始末……」
シスター「……」
勇者「あ、でも結婚を約束した女性もいるんですよ。ちょっと辛いことがあったので俺はそっとしておこうと思ったんで、諦めたんです」
シスター「その女性、本当は期待していたのかもしれませんよ。貴方に手を引いてもらえることを」
勇者「……マジっすか?」
シスター「どれほど辛いことがあったのかは分かりませんが、女からすればそういうときほど心の支えになってくれる殿方を求めていますから」



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:26:47.64 ID:WNVHldV5o
勇者「マジかー!!! あぁー!!! 強引に連れてかえっていればよかったぁー!!! うわぁぁー!!!!」
シスター「まだ待っているかもしれません。機会があれば顔を見に行ってみてはどうでしょう」
勇者「ぐぐ……!! い、いや!! もう過去の女!! 俺は忘れたんです!!」
シスター「付き合ってはないのでしょう?」
勇者「今はもう、君だけしか見えないんだ!!」
シスター「え……」
勇者「神の前で愛を語らないか?」
シスター「でも……私は……」
勇者「ああ、失礼。急に言われても困るだけですよね。はははは。俺としたことが。君を困らせるようなことをしてしまった」
シスター「いえ……。でも、あの……勇者様は私のことを……?」
勇者「(きたっ!! 食いついた!!! いける!! 恋愛マニュアルにもシスターは恋に奥手だから攻めあるのみって書いてたしなぁ!!!)」
勇者「ええ。恥ずかしいことですが……」
シスター「どうしてですか?」
勇者「どうして? 決まっているじゃないですか。貴女がこんなにも可憐だからですよ」
シスター「あ、ありがとうございます……」



132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:35:14.89 ID:WNVHldV5o
勇者「……」
シスター「……」モジモジ
勇者「(あぁー。神よ。俺にこんな可愛く清楚な女の子を紹介したくて、今まで試練を与えていたのですね。アーメン)」
シスター「あ、あの……」
勇者「な、なんですかぁ!?」
シスター「……明日の予定は?」
勇者「明日ぁ!? 明日は……その……仕事で……。いつ戻ってこれるかわからないんですよ」
シスター「そうですか……」
勇者「で、でも!! 絶対に帰ってきます!!! だから、そのとき改めて……!!! はい!!!」
シスター「はい。待っています」
勇者「(はぁー。祝福の鐘がなってるよぉー。これはもう……たまんねー!!! うっひょー!!!)」
勇者「この町で一番のホテルをとっておきます。無論、スウィートルームです。帰ってきたらそこで話しましょう。ゆっくりと。今後のことを」
シスター「そうですね。私も……その……ゆっくりとお話……したいですから……」
勇者「今日は貴女のような天使と話せてよかった。ありがとうございます」
シスター「私もです」



133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 19:51:05.83 ID:WNVHldV5o
教会
神父「……」
狼少女「……あう?」
神父「あなたのことどこかで見たことが……」
狼少女「私は知らない」
勇者「約束ですからね。あともう一度確認しときますけど、好きな人がいるとか婚約しているとかないですよね?」
シスター「ありませんよ」
勇者「ふぅー。なら、いいんだ」
狼少女「わぁぁー」タタタッ
勇者「元気か?」
狼少女「あい」
シスター「ところで、この子は……?」
勇者「一時的に保護しているだけです。勘違いしないでください。安心してください。もう俺は貴女のことしか考えてませんから」
シスター「保護ですか」
勇者「ああ、そうだ。この子のこと今晩だけ預かってもらえないでしょうか?」



134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:02:00.42 ID:WNVHldV5o
神父「それは構わないですが……」
勇者「よかった。見ての通り野生児なんで風呂はともかく、トイレには気をつけてください」
神父「分かりました。お任せください。責任をもって預かりましょう」
勇者「助かります」
神父「勇者様、この子はどこで?」
勇者「任務中に襲ってきたんですよ。狼と一緒に」
神父「……そうですか」
勇者「なんか知ってるんですか?」
神父「もしかしたら、という程度なのですが」
シスター「まさか、この町に……?」
神父「いたかもしれません。ただそのときは赤子だったので確信はないのですがね」
勇者「ここに捨てられてたってことですか?」
神父「いえ、母親と一緒でした」
勇者「母親が……」
狼少女「あう?」



136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:30:51.74 ID:WNVHldV5o
神父「ここで子どもを手放すと神に告げていたのかもしれませんね」
シスター「なんてこと……」
勇者「そのことは俺が預かります。他言はしないでください」
神父「承知しております」
勇者「……」
狼少女「なんだ?」
勇者「(調べなきゃいけないか……?)」
狼少女「こっちみんな」
勇者「それじゃ。明日の朝、来ますので」
神父「はい。お待ちしております。おやすみなさい」
シスター「おやすみなさい」
勇者「よし。帰ろう」
狼少女「あい」
勇者「お前はこなくていい。ここにいろ」
狼少女「あぇ? やだ」



138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:43:58.50 ID:WNVHldV5o
勇者「やだじゃないんだよ」
狼少女「やー」
勇者「あのなぁ」
狼少女「お前、逃げる気だ!! そんなことさせない!!!」
勇者「迎えにくるっていってんだろ」
狼少女「信じてやるもんか。お前、仲間傷つけたし」
勇者「今日はここにいろ!」
狼少女「い、や、だ!」
勇者「ええい!! 今まで普通に待ってたじゃないか!!」
狼少女「見えるところはいい。見えないところにいくな」
勇者「何様だこんにゃろぉ」
シスター「あのぉ」
勇者「なんでしょうか?」キリリッ
シスター「勇者様も教会に泊まられてはどうすですか?」
勇者「そうしたいのは山々ですが、明日の準備もあるので……」



140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:53:14.40 ID:WNVHldV5o
狼少女「ガルルルー!!」ガブッ
勇者「いってぇんだよ!!」
神父「困りましたね。勇者様から片時も離れたくないということですか」
シスター「どうしましょうか」
勇者「こら。お姉さんが困ってるだろ。いいから、お前はここにいろ」
狼少女「いやだ」
勇者「おい」
狼少女「う……なんだ……?」
勇者「必ずに迎えにくるから」
狼少女「……」
勇者「俺は逃げない」
狼少女「……ぜったい?」
勇者「おう。これでも約束は守るほうだ。だから、ここにいろ」
狼少女「……ぁぃ」
勇者「納得してないような返事だな。まぁ、いいや。一晩だけなんだからお姉さんに迷惑だけはかけるなよ」



141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 20:59:27.43 ID:WNVHldV5o
神父「では、改めまして。おやすみなさい、勇者様」
勇者「よろしくお願いします」
シスター「は、はい」
勇者「じゃあな」
狼少女「……」
シスター「おやすみなさいって言ってあげて」
狼少女「ふんっ」
勇者「なんでぇ、その態度。むかつくなぁ」
神父「拗ねているのではないですか?」
勇者「かわいくねえやつぅ」
シスター「そんなことないですよ」
勇者「そうですね。これも愛嬌というやつですかね。それでは、おやすみなさい」
シスター「はい。おやすみなさい」
狼少女「うぅ……。む、むかえにこいよー!!! こなかったら探しにいくからなぁー!!!」
勇者「うるせえなぁ。わかってるっつーの」



143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:10:10.03 ID:WNVHldV5o
城内 通路
勇者「(出生名簿ってどこで見れるんだろう……。ああ、いや、捨てたってことはそういう記録も残ってないかもな……)」
兵士長「お。戻ってきたか。待ってたぜ」
勇者「先輩。どうかしたんすか?」
兵士長「明日からの魔女狩りだがな、お前は遊撃扱いだとよ」
勇者「自由にしていいってことっすね。なら、先輩の部隊にいれてくださいよ」
兵士長「そのつもりだ。だが、お前はその前にあの女の子を家まで送るんだろ? 隊との合流はそのあとだな」
勇者「そうなっちゃうっすか」
兵士長「俺たちの行動予定表渡しとく。ま、がんばって追いつけ」
勇者「うぃーっす」
兵士長「あの子、やっぱりなんかあるか?」
勇者「あるでしょうね。狼に育てられたってのはきっとデマっすよ。あんなにちゃんと喋ってるんすから」
兵士長「人間の教育係がいるか」
勇者「ちゃんとした母親がいるのかもしれないっす」
兵士長「あっちもこっちも面倒だな。勇者様は大変だぁねぇ。お疲れさん」



144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:21:35.80 ID:WNVHldV5o
翌朝 宿舎 勇者の部屋
勇者「すぅ……すぅ……」
勇者「あぁ……そんなぁ……きょうかいで……そんな……のぞむところよぉ……ぬふふ……」
『勇者殿!! 勇者殿!!』ドンドン
勇者「ん……なんすかぁ……いい夢みてたのにぃ……。まぁ、正夢になるだろうけど……にゅふふふ……」
『勇者殿!! 起きてください!!』
勇者「もー! なんすかぁー!?」
兵士「おはようございます!!」
勇者「うっす。で、なんすか? 俺、もう少しゆっくり寝てられるんすけど」
兵士「城門のところにあの子どもがいるんですよ」
勇者「子ども……?」
兵士「ほら、昨日勇者殿が連れていた女の子です」
勇者「……なんかしたっすか?」
兵士「あいつを探しにきたと叫びながら無理やり中に入ろうとしたところを衛兵に取り押さえられたみたいで」
勇者「すぐいくっす」



145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:27:42.92 ID:WNVHldV5o
城下町 城入り口
門兵「こら、暴れるな!!」
狼少女「はなせぇ!!! ガルルルル!!! ここにいるのはわかってるんだー!!!」
勇者「なにしてんだ?」
狼少女「あー!! ……こないから探しにきた」
勇者「あのなぁ」
狼少女「朝になったのにこないから探しに来た。お前、やっぱりうそつきだ」
勇者「もうちょっと寝かせてくれよ」
狼少女「まぁ、いたからいい。ゆるしてやる。逃げなかったんだな。ほめてやる」
勇者「すんません」
門兵「いや、いいんだが。それよりもこの子は?」
勇者「任務中に色々あって保護してるだけです」
門兵「そうか。俺はてっきりモテないあまりに……」
勇者「どういう意味っすか?」
門兵「ま、まぁ、がんばってくれ。俺は応援してるぞ」



146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:35:05.80 ID:WNVHldV5o
食堂
狼少女「はむっ……はむっ……」モグモグ
勇者「朝からよく食うな」
兵士長「いよぉ。きいたぜぇ。姫様が迎えにきたらしいじゃねえか」
勇者「何が姫様っすか。こっちはいい迷惑っすよ。神父さんにも謝らなきゃいけなくなったし」
兵士長「この様子じゃ帰れねえんだな」
勇者「でしょうね」
狼少女「んぅ? やらないから」
勇者「いらねぇよ」
兵士長「どうして狼とつるんでいるのかはわからねえが、能力は人間と同じか。離れた場所に連れて来られたら帰り道が分からない」
勇者「……」
兵士長「お前しか頼るやつがいないんだな」
勇者「こいつつれてちゃ日課のナンパにいけねぇっすよぉ」
兵士長「いいじゃねえか。教会のシスターと懇ろなんだろ?」
勇者「でへへへ。じつはぁ、そーなんすよぉ。任務が終われば一緒にホテルで……でぇっへっへっへ……あぁー。まちきれないっすぅー」



147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:41:43.48 ID:WNVHldV5o
兵士長「んじゃ、合流するの楽しみにしてるぜ」
勇者「うぃーっす」
狼少女「うぃーっす」
勇者「真似すんなよ」
狼少女「すまん」
兵士長「ハハッ。仲良いいなぁ」
勇者「うっさいっす!!」
狼少女「はむっ……はむっ……」
勇者「大人しく待ってろっていっただろ。何逃げ出してきてんだよ」
狼少女「ふんっ」
勇者「お前のおかげでこっちは迷惑してるんだよ。わかってんのかぁ?」
狼少女「しらん」
勇者「知らんってなんだ!?」
狼少女「はむっ……」
勇者「食ったら教会に行くぞ。彼女に好感度、確実に落ちてるなぁ……」



148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:48:20.36 ID:WNVHldV5o
教会
シスター「よかったです。朝起きたら、もう姿がなかったので心配していたんです」
勇者「心配をおかけして本当に申し訳ありません。ほら、お前も謝れ」
狼少女「……」
勇者「おい」
シスター「いいですよ。無事で何よりです」
勇者「そう言っていただけるとありがたい。ーーこれ、貴女のために花を買ってきました」
シスター「わぁ……。綺麗……。いいのですか?」
勇者「勿論っ」
シスター「ふふっ」
勇者「うぇっへっへっへ……」
狼少女「ガウッ!」ガブッ
勇者「なんだよ。邪魔すんな」
シスター「では、ミサの途中ですので。勇者様、お気をつけて」
勇者「あ……。は、はい。必ず、帰ってきますから。そのときはよろしくしましょう。いえ! よろしくお願いします!!」



149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 21:54:35.15 ID:WNVHldV5o
城下町
勇者「さぁー。いくぞぉ」
狼少女「おー」
門兵「……」
勇者「ええと……。問題の森は……農村の近くだから……この辺りか」
狼少女「おー?」
勇者「お前、地図読めるのか?」
狼少女「よめない」
勇者「なら、覗きこむな。邪魔だよ」
狼少女「あぅ」
勇者「農村を経由してもいいけど……あの幸せの二人をみると憎悪がわいてくるからやめておいて、直接行くかなぁ……」
狼少女「みーせーろー」ガブッ
勇者「噛み付くなよ」
狼少女「ガルルルー」
門兵「(うーん……。羨ましいやつ……。くそ……くそ……)」



150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:01:13.79 ID:WNVHldV5o
勇者「あー。早くかえりてぇー」
狼少女「なんで?」
勇者「フィアンセが待ってるんだよ」
狼少女「結婚、するのか」
勇者「……」
狼少女「誰とする?」
勇者「お前には関係ないだろ」
狼少女「そうだけど」
勇者「(フィアンセって言葉も結婚の意味も知ってるってことか……。普通に生活できそうだな……)」
勇者「なぁ」
狼少女「んぁ?」
勇者「お前の母親って誰なんだ」
狼少女「母親はいない。父親はいる」
勇者「誰だ?」
狼少女「お前、一度見てるだろ。私と一緒にお前と戦った」



151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:06:45.42 ID:WNVHldV5o
勇者「あぁ、あの狼がそうなのか」
狼少女「もう少しでお前を倒せたのに……」
勇者「お前置いて逃げちゃったもんな」
狼少女「逃げてない。あれはせんりゃくてきてったい」
勇者「難しい言葉知ってるんだな」
狼少女「教えてもらった」
勇者「父親にか?」
狼少女「父だけじゃない。お兄ちゃんにもお姉ちゃんにも教えてもらったことあるぞ」
勇者「ふぅーん」
狼少女「みんな物知りなんだ」
勇者「お前はさぁ……その……。人間なのか? 狼なのか?」
狼少女「狼人間だ」
勇者「なるほど。そうきたか」
狼少女「私は人間と狼の間にできた、最強の狼なんだ。こわいだろー?」
勇者「いや、全然」



152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:12:16.78 ID:WNVHldV5o
狼の森
勇者「ここだな。ーーおい、ついたぞ」
狼少女「……」プイッ
勇者「まだ怒ってるのか? わかったよ。お前は怖いよ。恐怖の対象だ。これでいいだろ?」
狼少女「ガルルル……!!」
勇者「(ダメだ。完全に拗ねちゃってるもんなぁー。これだからガキは嫌いなんだ)」
狼少女「お前、きらいだ」
勇者「ほら、もうここまで来たら帰ることができるだろ?」
狼少女「……」
勇者「元気でな」
狼少女「どこいく?」
勇者「大事な仕事があるんだよ。お前は父親のところに戻れよ」
狼少女「……あい」タタタッ
勇者「……」
勇者「行きますか」



154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:27:21.83 ID:WNVHldV5o
農村
医者「ーー狼に人の子を育てるだけの能力があるかどうかは微妙でしょうね」
勇者「やっぱ、そうっすか」
医者「可能性としてなくはない。ただ、仮に狼が人の子を育てたとしても、その子が言葉を覚えることはできませんし、遠吠え等の狼に似た行動をとるはずです」
勇者「二足歩行もできませんよね?」
医者「無論です。加えて短命でしょうね。口にするものは人間のそれと全く異なりますから」
勇者「……」
医者「どう考えても勇者様のいうその子どもには、人間の親、或いは親代わりがいるはずです」
勇者「問題はその親がどうして狼と娘を一緒にさせていているのか。娘に狼の真似事をさせているのか」
医者「本当の娘ではないかもしれませんね。どこからか連れてきた子どもを使って実験ということも」
勇者「実験?」
医者「聞かない話ではありません。犬が猫を育てたり、豚が犬を育てたりするという事例はあります」
勇者「狼が人間の子どもの面倒をみてくれるかってことっすか? でも、あの子は自分の父親が狼だって信じてるんすよ?」
医者「そこです。面倒をみるかどうかの実験ならば、そのような思い込みをしていることが不自然です。狼が世話を始めれば実験終了ですからね」
勇者「逆かもしれないっすね。狼が人間の面倒を見るかどうかじゃなく、人間が狼を親だと思い込むかどうかの実験……とか」



155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:36:59.81 ID:WNVHldV5o
医者「……どちらにしても非人道的です」
勇者「そうっすよねぇー」
村娘「どうぞ。コーヒーしかすぐに出せるものがなくて……」
勇者「ああ、お構いなく」
医者「各地で起こっている事件と関係があるのでしょうか」
勇者「そうかもしんねーっすね」
医者「だとしたら、私の薬も役に立つかもしれませんね」
勇者「俺も貰うつもりで来ましたから」
医者「好きなだけ持って行って下さい」
勇者「すんません。何度も手助けしてもらっちゃって」
医者「何を言っているんですか。貴方は村の恩人。そして、命の恩人でもあるのですから」
村娘「そうですよ。みんなが元気でいられるのは勇者様のおかげですもの。私、本当に幸せです。もし、あの子が処分されていたらきっと結婚なんてできなかったかもしれない……」
勇者「マジっすか。殺しとけばよかった」
医者「あはははは。勇者様、またまた。心にもないこと」
勇者「マジでいってんすけど」



156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:45:54.95 ID:WNVHldV5o
医者「こちらが薬です。飲んですぐに効果が現れるかはわかりません。もし、何かあればすぐに私のところへ来てください」
勇者「飲ませる前に診せたいっすけど、まぁ、状況に応じてっすね」
医者「ええ。まぁ、私は獣医ですので、できればちゃんとした病院にいってもらったほうが」
勇者「……くやしいっすけど、あんたが誰よりも頼りになる医者なんすよ」
医者「……」
勇者「また来ると思います。そのときはお願いします」
医者「はい! 勇者様のご期待に応えられるよう、がんばります!!」
勇者「あざす」
医者「こうなってくると薬は流通させたほうがいいですね。手は打っておきます」
勇者「何から何まであざす」
医者「いえ。貴方のお役に立てるなら光栄ですよ」
勇者「嫌味にしかきこえーっす」
医者「いつでも頼ってくださいね」
村娘「勇者様ー!! お気をつけてー!!」
勇者「うーっす!!」



157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 22:54:58.69 ID:WNVHldV5o
狼の森
勇者「(あいつが人体実験の被害者っつーなら、その親がなんか知ってる可能性があるなぁ……)」
勇者「さてさて……。泳がしたんだから、出てきてこいよー、母親か教育係さん」
「グルルル……」
勇者「……ん?」
勇者「……」
勇者「(俺を狙ってるわけじゃないか……。この唸り声はどこから……)」
狼「グルルルル……!!」
狼少女「ガルルルル……」
「まさか逃げるとはね。ダメじゃない」
勇者「(あれは……)」ペラッ
「ふふ、でも、こうして戻ってきてくれたんだから許してあげる。もう逃げちゃダメよ?」ナデナデ
狼少女「あい」
勇者「(魔女……!)」
魔女「さぁて、ご飯の時間にしようか。みんな、いらっしゃい」



159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:06:14.97 ID:WNVHldV5o
狼「オォォン!!」
魔女「ほーら。いっぱいあるから、慌てないでいいわよぉ」
狼少女「はむっ……はむっ……!!」
勇者「なんてこった……」
勇者「(魔女、ちょー美人じゃん。年上のお姉様じゃん。踏まれたいじゃん)」
勇者「(あの数だ。ここで出て行っても狼のエサになるだけだな……。いや、でも、エサくってるし、俺が食べられることはないか)」
勇者「……よしっ」
魔女「ほら、もっと綺麗に食べなさい。口元が汚れているわよ」フキフキ
狼少女「うぅ……」
勇者「ーーいいペットをお持ちですね、お姉様」
魔女「……」
狼「ガルルル……!!!」
勇者「よぉ。狼畜生。また、返り討ちにしちまうぜ?」
狼「クゥーン……」
狼少女「あ……ぅ……」



160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:12:29.07 ID:WNVHldV5o
「グルルル……!!!」
「ガルルル……!!!!」
勇者「(ざっと20匹か……。まともにやったら死ぬな)」
魔女「珍しいわね。この森に人間が迷い込むなんて。狼の縄張りだって知らないのかしら?」
勇者「貴女の色香に誘われてしまってね。のこのことやってきてしまいましたよ」キリッ
魔女「そう。篭絡されにきたということかしら?」
勇者「してくれるんですか? 是非ともお願いしたい」
魔女「うふっ。いいわよ」
勇者「ただし……」
魔女「なにかしら?」
勇者「俺の家まで来てもらいますけどね」シャキン
魔女「……国王の差し金ね。一人しかいないということは、勇者様かしら」
勇者「よくご存知で」
魔女「勇者って本当にバカしかいないのね。いつも一人でやってきては気障な台詞はいて、死んでいくだけなのに」
勇者「貴女のような美しい人を前にしたら男はみんな腑抜けにもなりますよ」



162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:20:34.19 ID:WNVHldV5o
魔女「似たような台詞、ずっと前にも聞いたわ。さてと……」
「グルルル……」
「ガルルル……」
勇者「……」
狼少女「うぁ……ぅ……」
魔女「ーーやれ」パチンッ
狼「ガァァァァァ!!!!」ダダダダッ
狼少女「やめて!!」
狼「……!」
魔女「なんの真似?」
狼少女「あ、あいつは……あの……敵じゃない……」
魔女「何を言ってるの?」
狼少女「仲間、傷つけたけど……わ、わるい人間じゃない……」
魔女「……もう少し強いお薬が必要のようね」
狼少女「うぁ……!?」ビクッ



163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:27:24.48 ID:WNVHldV5o
勇者「ーーそこまでにしてもらおうか。貴女を斬りたくはない」
魔女「……意外とすばやいのね」
勇者「伊達に勇者って呼ばれてませんからね」
狼少女「あ……ぁ……」
勇者「一つ聞きましょうか。農村で家畜が凶暴化したのは貴女の仕業ですか?」
魔女「農村……。ああ、あれね。ええ。試作品を使ってみたの。人間を見ると暴走してくれるかどうかをね」
勇者「何のために?」
魔女「貴方にいう必要があるの?」
勇者「なんて馥郁たる香り……。香水な何をお使いになっているのですか?」クンクン
魔女「変なやつ」
「ガァァァア!!!!」
勇者「おっと!! その牙で噛まれたくはないな!!」バッ
魔女「食い殺せ」
狼「オオォォォォォオ!!!!」
勇者「やべぇ。逃げろぉ」



164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:33:48.50 ID:WNVHldV5o
魔女「逃がすな!!」
「ガァァァァ!!!」
勇者「ひえぇー!!!」
狼少女「あ……」
勇者「一緒にこい!!」
狼少女「え……」
勇者「どうした!? こい!!」
狼少女「ーーあいっ!!」ギュッ
魔女「な……!! どこに行くの!!!」
狼少女「ご、ごめんなさい……」
魔女「そんなの許さないわよ……!! 許さない……!!!」
勇者「(すげー怒ってるな……)」
勇者「お姉様、この子は預からせてもらいますよ。母親が泣いているかもしれないので」
魔女「な、なんですって……!?」
勇者「また会える日を楽しみにしてますよ。お姉様。今度会うときにはもう嫁がいるだろうけど、愛人にはしてあげますから心配いりませんよ。ではでは」ダダダッ



165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:39:12.96 ID:WNVHldV5o
「ガァァアアウ!!!!」
勇者「あぶねぇ!?」
狼少女「なんで、斬らない?」
勇者「仲間傷つけたら、お前怒るだろ。だから」
狼少女「……」
「ガァァアアア!!!!」
勇者「やめてぇ!!!」バッ!!!
狼少女「がんばれ! がんばれ!」ペシペシ
勇者「おめえを抱いてるから動きが鈍くなるんだよ!!」
狼少女「すまん」
「ガァアアアアウ!!!!」
勇者「ひぇぇ!!」
狼少女「おぉー」
勇者「くそぉぉぉ!! 早く帰って結婚してぇぇぇぇ!!!」
狼少女「あい」ギュッ



166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:48:20.22 ID:WNVHldV5o
狼「クゥーン……」
魔女「逃がしたのね?」
狼「……」
魔女「何をしているの!!!」ゲシッ!!!
狼「クゥーン……」
魔女「早く探して来なさい!!! はやく!!!」
狼「……」タタタッ
魔女「……っ」
魔女「もっと投与量を多くしておくべきだったわね」
魔女「数日の間外界に行っただけであんな男に誑かされて……」
魔女「許せないわ」
魔女「しっかりとお仕置きしてあげないとね」
魔女「そしてあの勇者も……」
「グルルルル……」
魔女「そうね。勇者を追うより、待ち伏せしたほうがいいわね。ふふふふ……」



167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/22(火) 23:54:24.08 ID:WNVHldV5o
農村
医者「では、採血を……」キラッ
狼少女「わぁぁー!!」ギュッ
勇者「なんだよ?」
狼少女「ちゅうしゃぁ……やだぁ……」
勇者「やれよ」
狼少女「ガルルル……!!!」
勇者「おねがいします」
医者「はい」
狼少女「たすけろー!!! あ……あぃー!!!!」
勇者「ハッハッハッハ。ざまーみろ」
村娘「しかし、勇者様。よく狼の群れから逃げてこれましたね」
勇者「こいつが狼のことをよく知ってたんで、なんとかなりました」
村娘「それでも普通の人では助かったとしても大怪我していますよ。勇者様、流石ですね」
勇者「今からでも遅くありません。惚れてくれてもいいんですよ?」キリリッ



168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:02:34.28 ID:36thv87Do
狼少女「ぐすっ……」
勇者「なんだ、元気ないな。別に痛くなかっただろ?」
狼少女「……私、仲間裏切った。悪いのは私。きっとみんな恨んでる」
勇者「じゃあ、俺についてくることなかったのに」
狼少女「お前がついてこいっていったから!!!」
勇者「俺の所為か!?」
狼少女「ガルルルー!!」ガブッ
勇者「いてぇよ!!」
医者「……結果が出ました」
勇者「どうでした?」
医者「やはり同種の薬を投与されているようですね」
勇者「つまり……」
医者「動物の凶暴化、町で起こった連続殺人、そして狼に育てられた女の子。これらは勇者様が見た魔女の仕業で間違いないかと」
勇者「あぁ……。残念っすね。こんな事件を起こしてさえいなければ俺の正妻になれるチャンスもあったのに」
医者「これからどうされるおつもりですか?」



169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:09:51.20 ID:36thv87Do
勇者「とりあえず、こいつを正気に戻すとして……。まぁ、陛下に報告しておわりっすね」
医者「そうですか。薬のほうは任せてください」
勇者「お願いするっす。ほら、これ飲め」
狼少女「なにこれ?」
勇者「薬だ。これでお前は元の女の子に戻れる」
狼少女「元の……?」
勇者「おう。それでできれば思い出して欲しいんだよ。お前の母親のことをさ」
狼少女「薬、きらいだ」
勇者「飲めって」
狼少女「いーっ」
勇者「……」グイッ
狼少女「ふぁふぇふぉー!!!」
医者「そ、そんな乱暴にしなくても……」
勇者「ほーら、のめ!!」
狼少女「ふぁにゃー!!!」



170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:20:56.47 ID:36thv87Do
狼少女「うぇぇ……まずい……」
勇者「……どうだ?」
狼少女「まずいっ!!」ドガッ!!!
勇者「いって!! なにすんだこらぁ!!!」
狼少女「うまいものくわせろー!!!」
勇者「母親は!?」
狼少女「いない!!」
勇者「父親は!?」
狼少女「それは……あー……うーん……いない?」
勇者「……」
狼少女「うぅー……?」
医者「どうやらかなりの量を投与されていたのでしょう。中和できるまで時間がかかりそうです」
勇者「んだよぉ。役にたたねえなぁ。お前の母親さがせねえだろぉ」
狼少女「バカにするなぁー!!!」ガブッ
勇者「ふん。噛まれるのにはもう慣れたわ! バカめ!」



171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:27:53.19 ID:36thv87Do
馬小屋
馬「ヒヒーン!!」
狼少女「おぉー! 馬だ!!」
勇者「馬だな」
狼少女「食っていいか!?」
勇者「ダメに決まってんだろ」
狼少女「いじわるか!?」
勇者「違う。そいつは食べたら腹壊すぞ。毒もってるからな」
狼少女「そうなのか!? 馬にも毒もってるやついるんだなぁ。しらなかった」
勇者「……野生的な思考は薬の所為じゃないのか?」
村娘「うふふ」
勇者「どうしたっすか?」
村娘「いえ。勇者様って、本当にお優しいんですね。みんなが懐いてるのも納得です」
勇者「懐かれるのはいいんすけどね。舐めるのはやめてほしいっすわ。臭くなるんで」
「ヒヒーン」ペロペロ



172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:38:42.98 ID:36thv87Do
馬「ヒヒーン」ペロペロ
狼少女「やめろー!!」
村娘「勇者様、動物には好かれるほうですよね?」
勇者「ええ、まぁ。昔から獣にはモテるんすよ。慰めてくれるのはいつも野良犬と野良猫ばっかりで……」
村娘「心が澄んでいる証拠ですね」
勇者「心が澄んでいても女の子にはモテねーっすよねぇ……」
村娘「そんなことないですよ。勇者様ならいつかきっと素敵な女性と結ばれますよ」
勇者「……」
シスター『あなた。お疲れ様。ごはんにします? お風呂にします? それとも……わ、た、し?』
勇者『君とお風呂に入ってから君をおかずにする』
シスター『やだぁ! エッチ!! でも、そんなあなたがだーいすきっ』
勇者「のほほほほぉ」
狼少女「なんだ、お前。気色悪いな」
勇者「あぁ? しっしっ。あっちいけよ。美しい考えごとしてるんだから邪魔すんな」



173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:45:47.08 ID:36thv87Do
医者「勇者様。間に合わせですが、できました。お持ちください」
勇者「どもっす。とりあえずこれで様子を見ましょうか」
医者「1日1回ですからね。それ以上は体に毒です」
勇者「わかってるっすよ。おーい。いくぞー」
狼少女「あーい。またな!」
馬「ヒヒーン!!」
勇者「お世話になりました。これで最後になればいいんすけどね」
医者「何を仰いますか。どんなに些細なことでもお助けしますよ」
村娘「はいっ。遠慮なんてしないでください」
勇者「(あんたらを見てると死にたくなる自分がいるんすよね……)」
狼少女「なにしてんだ。はやく」
勇者「お前が仕切るなよ。どこに行くかもわかってねえくせに」
狼少女「どこいく?」
勇者「先輩と合流する。本当ならお前はここに残していきたいんだけどな……」
狼少女「お前、ついてこいっていった!! だから、ついていくからな!!」



174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:54:20.73 ID:36thv87Do
南の港町 酒場
狼少女「はむっ……はむっ……」
兵士長「んで、子持ちになっちゃったわけか」
勇者「子持ちって言わないでくださいよ。母親が見つかるまでっす」
兵士長「嫁にしてやったらどうだ? こんなに懐かれたら悪い気はしねえだろ」
勇者「じょーだん。俺の理想はぁ!!」
兵士長「美人で清楚で可憐な女性だろ。耳にタコができちまうぜ」
勇者「だから、こんなガサツでしかもガキは論外っす。眼中にはいらないっす!!」
兵士長「10年後は分からんぞ? 今のうちに唾をつけとくのもアリだと思うがねぇ」
勇者「どーせ、ゴリマッチョウーマンになるだけっすよ。こんなやつ」
兵士長「んー……」
狼少女「はむっ……はむっ……ん? ガルルル……!!」
兵士長「とらねえよ。ゆっくり食べな」
狼少女「はむっ……はむっ……」
兵士長「(こいつ、絶対に美人になるなぁ。あー、もったいねぇ)」



175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:05:44.58 ID:36thv87Do
勇者「そんなことより、先輩」
兵士長「魔女と会った感想は?」
勇者「誤解を恐れず言うと、俺の理想通りの人でした!」
兵士長「誤解しかうまねぇ意見、サンキュー。他には?」
勇者「狼を従えていたんで、ちょっと獣臭いとか思ったでしょう? ところがどっこい、すんげーいい香り漂わせてたっすぅ。ありゃ、魔女と呼ばれてもしかたないっすわぁ」
兵士長「ああ、そうかい。割り勘にするぞ」
勇者「ああ、すんません。魔女っつっても普通の人間でしたね。殺すだけなら簡単っすよ」
兵士長「問題は取り巻きの狼か」
狼少女「……」ピクッ
勇者「先輩」
兵士長「あ、ああ。悪いな。お嬢ちゃん」
勇者「育てられたってのは嘘でも、あいつにとっては仲間なんすよ。家族っていってもいいかもしれないっすけど」
兵士長「獣が家族ね」
勇者「先輩はペットとか飼ったことないからわかんないだけっす。動物を大切にしてる人にとってはそうなんっすよ。マジで」
兵士長「そうか。お前の惚れた相手がそんな感じだったのか?」



177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:15:16.28 ID:36thv87Do
勇者「昔の女の話はやめましょうよ」
兵士長「てめぇの女じゃねえだろがよ。すっ……ぱぁー……」
狼少女「げほっ……げほっ……! ガルルル!!」
勇者「タバコはやめてくださいっす」
兵士長「かたいこというなよ」
勇者「殴られるっすよ」
兵士長「マジで? すっ……ぱぁー……」
狼少女「げほ……! ガルルル……!! ガァァウ!!!」ドガッ!!!
勇者「いってぇ!? ほら!!」
兵士長「狼はこの臭いダメか?」
狼少女「狼じゃなくても嫌だ」
兵士長「はいよ。おかわりしていいから、好きなの食べな」
狼少女「いいのか!?」
兵士長「俺のオゴリだ」
狼少女「あ……うー……どれに……あ、これ! これ!! ハンバーグ!!」



178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:29:08.43 ID:36thv87Do
港町 宿
兵士長「何はともあれ長旅ご苦労さん。今日はしっかり休めよ」
勇者「うぃーっす」
狼少女「うぃーっす」
兵士長「魔女の行方については明日検討するから、早起きしろよ」
勇者「了解っす」
兵士長「といっても、一度戻らないといけなくなったな」
勇者「そっすね。調べてみる価値はあると思うっす」
兵士長「母親探しが魔女に繋がる……か」
勇者「だといいんすけどね」
兵士長「一つの手がかりとしてはアリだがな。この狼姫が親の顔を覚えてくれてたら楽だったんだがなぁ」
狼少女「すまん」
兵士長「ハハッ。良いって事よ。面倒ごとには慣れてる」
勇者「お疲れっす、先輩。ほら、行くぞ」
狼少女「あい」



179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:35:48.35 ID:36thv87Do
廊下
勇者「お前はこの部屋な」
狼少女「お前はどの部屋だ」
勇者「隣だよ。何かあったら呼べ」
狼少女「わかった」
勇者「んじゃ、おやすみ」
狼少女「あいっ」
勇者「寝坊したら置いていくからな」
狼少女「うぇ?」
勇者「なんだよ?」
狼少女「おいて、いくのか?」
勇者「当たり前だ。人間社会ってのは厳しいもんなんだよ」
狼少女「そうか……」
勇者「すぐに寝れば寝坊しねえよ。じゃあな」ガチャ
狼少女「あ……まっ……」



180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:38:47.88 ID:36thv87Do
寝室
勇者「ーーふぃー。さっぱりしたぁ。この宿は中々いいっすねぇ。シャワーの水圧が申し分ないわぁ」
勇者「はぁー。この分だと二日後には帰れるなぁ。そうなれば……クフフフ……ブフフフ……」
勇者「風呂からあがれば女の子がベッドで待っているという夢のような生活が待っているんだぁぁ!!! うらよっしゃぁぁぁ!!!!」
勇者「まぁー、今日は誰もいないベッドで我慢ーー」
狼少女「すぅ……すぅ……」
勇者「……おい」
狼少女「うぅ……なんだ?」
勇者「隣の部屋だって言っただろ」
狼少女「考えた」
勇者「何を」
狼少女「一緒に寝れば起きるときも一緒だ。寝坊するときも一緒だ。おいていかれることはない。な?」
勇者「……」
狼少女「ダメか!?」
勇者「もういいよ。寝てろ」



181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:49:04.55 ID:36thv87Do
狼少女「すぅ……すぅ……」
勇者「はぁーあ。酒でも飲むか」
勇者「んぐっ……んぐっ……。ぷはぁ……」
狼少女「うぅん……」
勇者「……」
勇者「(一人になるのが、怖いのか……?)」
狼少女「すかぁー……すかぁー……」
勇者「やっぱり、捨てられたんだろうか、こいつ」
勇者「(両親がいないって、寂しいもんなぁ……)」
勇者「(嫌いじゃなかったけど親父は滅多に帰ってこなかったし、母さんは俺が小さいときに死んじまったから、一人でなんでもしてきたけど)」
勇者「(親父が任務中に死んだって聞いたときは、喪失感がすごかったもんなぁ……)」
勇者「(今でもふとしたときに寂しくなるし……。だから、早く家で待っていてくれるような可愛いお嫁さんが欲しいのに……)」
狼少女「がおー……がおー……」
勇者「……」
勇者「(さっさとこいつの親を探しださねえと。こんなやつが一緒だと幾ら広い心の修道女でも嫌がるだろうしなぁ。がんばるぞ!! 俺の幸せのために!!)」



189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:25:27.30 ID:36thv87Do
翌朝
勇者「う……ん……」
勇者「朝か……」
狼少女「がぉー……がぉー……」
勇者「起きろ。朝だぞ」
狼少女「がぅー……?」
勇者「早くしろ。置いていくぞ」
狼少女「うぁーい……ふわぁぁ……」
勇者「何か思い出したことはあるか?」
狼少女「ぁえ?」
勇者「魔女のこととか母親のこととか父親のこととか」
狼少女「魔女はしらない。母親はいない。父親はよくわからない」
勇者「……お前の父親は狼じゃないな?」
狼少女「うーん……。きっと、多分違う」
勇者「そっか。よし、顔洗ってこい。先輩のとこに行くから」



190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:32:51.68 ID:36thv87Do
食堂
兵士長「そうか。やはり姫にとって魔女はよく喋る狼なわけだ」
勇者「そうだと思うっす」
兵士長「姫から魔女を追うのは今のところ難しいか」
勇者「うっす。で、姫ってなんすか?」
兵士長「勇者様が抱くのは姫様って相場が決まってるだろ?」
勇者「はぁー? あいつが姫って」
狼少女「はらへったーはらへったー」
兵士「好きなのとって食べていいぞ」
狼少女「いいのか!? あざす!」
勇者「アーッハッハッハ!! にあわねー」
兵士長「とりあえずは姫の親探しからだな」
兵士「しかし、隊長。名前もよくわからないのでは探しようが……」
兵士長「可能性を一つ一つ潰していきゃあなんとかなるだろ。なぁ?」
勇者「時間かかるっすね、それ。まぁ、俺としては時間をかけてくれたほうが……にゅふふふ……」



191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:39:09.50 ID:36thv87Do
城下町
兵士長「ーー俺は陛下に報告してくるが、お前はどうする?」
勇者「ホテルの予約にいってくるっす」
兵士長「例のシスター絡みか」
勇者「うっす!! 今回は成功率200パーセントっすね」
兵士長「まぁ、がんばれや。あとで顔出せよ」
勇者「うぃーっす。明日には俺の可愛い嫁を紹介できるっすから、期待しててください」
兵士長「おう」
勇者「さぁて、行くかぁ」ポキポキ
狼少女「あい」
勇者「……お前はこなくていい。俺の部屋にでも行ってろ。場所は覚えてるだろ?」
狼少女「お前、どこいく?」
勇者「ガキには関係ねえさ。ほら、早くいけ。俺には時間がないんだ」
狼少女「……かえってこいよ」
勇者「帰るよ。まだ俺の住まいはあの宿舎だからなぁ」



192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:46:57.61 ID:36thv87Do
墓地
勇者「(スウィートルームも予約できたし……あとは……誘うだけ……。くぅー!!! ついに!! ついに!! 俺も一皮剥けるときがきたわけだぁ!!!)」
勇者「(恋愛マニュアル通りなら、女はホテルの雰囲気に呑まれて……自ら脱ぐ!! そうなっちゃえば、もうやることは一つよ!!!)」
勇者「たはー!! もうドキドキしてきちゃったよぉ!!」
勇者「さーてと、この時間ならここに……」
シスター「……」
勇者「いたいた……。ーーただいま、戻りました」
シスター「あ……。おかりなさい」
勇者「約束通り、今晩は貴女を夢の一時へ誘います」
シスター「あの、お父様に報告はされなくていいのですか?」
勇者「え?」
シスター「いつもそうしているようでしたので」
勇者「ふっ。よく見てますね。そうですね。報告しておきましょう」
勇者「父さん。俺、ついにやったよ。今晩、男になれるよ。……で、来てくれますよね?」
シスター「え? は、はい。約束ですので」



193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:53:20.41 ID:36thv87Do
勇者「20時ですよ。忘れないでくださいね」
シスター「え、ええ。ところで、あの子は?」
勇者「俺の部屋でお留守番させておきます。俺たちの時間には介入してきませんよ。大丈夫です」
シスター「そ、そうですか……。そうですね。そのほうがいいかもしれません」
勇者「でしょう? ふふふ。まぁ、あんな子どもには見せられないですけど。教育上、よくないといいますか」
シスター「……あの」
勇者「はぁい?」
シスター「お父様と話したことはありますか?」
勇者「勿論です。まぁ、仕事熱心な父でしてね。あまり家には帰ってきませんでしたが」
シスター「そう……ですか……。よかった」
勇者「なにがですか?」
シスター「いえ。今晩、ゆっくりと話しましょうね」
勇者「今晩といわず、朝まで語り合ってもいいですよ」
シスター「確かに時間はいくらあっても足りないかもしれないですね……」
勇者「(この子、意外とスケベじゃん? サイコーだね)」



196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:09:47.09 ID:36thv87Do
宿舎 勇者の部屋
狼少女「ほぅほぅ……」ペラッ
勇者「あー!!! ひゃっはー!!!」バーンッ
狼少女「わぁぁー」タタタッ
勇者「あははははは!! いやぁー!! 俺は今日と言う日のために生まれてきたんだな!! きっと!!!」
狼少女「なんかあったのか?」
勇者「なにかあったどころじゃないんだよ!!! 念願のワイフを見つけたんだぜぇい!!! フフハハハハ!!!!! オヒョヒョヒョ!!!」
狼少女「嫁か!!」
勇者「そうだ!! 嫁だぁ!!」
狼少女「おぉー。がんばるっ」
勇者「ああ!! ほぼ確定事項とはいえ、最後の詰めを誤らないようにしなくてはな。勝って兜の緒をしめよっていうしなぁ!!!!」
狼少女「あい」ペラッ
勇者「ん? お前、何読んでるんだ?」
狼少女「落ちてた」
勇者「おいおい。それ俺のバイブルじゃねえかよ。お前が読むには10年早いっつの」



197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:17:03.80 ID:36thv87Do
勇者「ーー蝶ネクタイ、曲がってないか?」キリリッ
狼少女「またどっかいくのか?」
勇者「メシはそこにあるからテキトーに食ってろ。間違っても宿舎の中を彷徨ったり、城のほうへ散歩にいったりすんなよ」
狼少女「わかった」
勇者「どうだ、カッコイイだろ、今日の俺」
狼少女「よくわからん」
勇者「だろうなぁ。まぁ、次に会うときはもっとかっこよくなってるけどな。何せ、今夜、俺は、真の意味で大人になるんだ」
狼少女「なんかするのか?」
勇者「する。お前では到底理解できない生命の伊吹を感じてくる」
狼少女「交尾でもするのか?」
勇者「……さ、行ってくる。明日の朝には帰ってくるから。大人しくしてろよ」
狼少女「私も一緒じゃダメか?」
勇者「ダメに決まってるだろ」
狼少女「むぅ……わかった」
勇者「んじゃ、いってきまぁーす!! 待っててくれー!! 俺のスウィートハニー!!!」



198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:34:26.78 ID:36thv87Do
通路
勇者「にょほほほー!! あひゃひゃひゃひゃー!! 笑いがとまんねーなぁ!!」
兵士長「ご機嫌だな」
勇者「先輩!! そりゃご機嫌にもなるっすよぉ」
兵士長「お前にも恋人ができるか……。こりゃ、明日は雪でも降るな」
勇者「何をいってんすかぁ。俺の魅力に気が付いた女の子がようやく現れたってだけのことっすよ。むしろ遅すぎたぐらいっすわ」
兵士長「そうだな。お前みたいな馬鹿正直ないい奴は二人もいねえよ」
勇者「てれるぜ」
兵士長「でよぉ、姫のことだが……」
勇者「先輩。今は、今だけは仕事のことを忘れさせてくださいよぉ」
兵士長「だがな」
勇者「今宵の俺は野生児の保護者じゃなく、カッコいい男なんすよ」
兵士長「あいよ。もう行け」
勇者「うぃーっす!!! せんぱーい!! 今度、ダブルデートでもしましょーねー!!! 俺もちょー美人の嫁さんつれていくんでー!!!」ダダダッ
兵士長「はしゃいで転ぶんじゃねぇぞぉ。……すっかり舞い上がってるなぁ。ダイヤの原石を磨いてやったほうがずっといいと思うんだがなぁ、俺は」



199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:41:51.80 ID:36thv87Do
ホテル スウィートホーム
勇者『……綺麗だ』
シスター『そうですね。夜景が綺麗です』
勇者『違うよ。君のことさ』
シスター『ゆ、勇者様……』
勇者『君の純潔は神にではなく、俺に捧げてくれ』
シスター『はいっ』
勇者「ーーおしっ。予行練習は完璧だ。あとは、本番のときに上手くできるかどうかだが……」
「勇者様……」コンコン
勇者「(キタッ!! 平常心……平常心……)」
勇者「あ、あいてぇーますよぉー!」
シスター「……」ガチャ
勇者「よ、ようこそぉ……!! こんにちは!!!」
シスター「はい」
勇者「(落ち着けぇ、俺……。深呼吸、深呼吸……)」



204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:47:37.19 ID:36thv87Do
勇者「スー……ハァー……スゥゥゥ……ハァァァ……」
シスター「綺麗ですね」
勇者「そうですね。夜景が綺麗です」
シスター「はい。本当に」
勇者「違うよ。君のことさ」
シスター「は?」
勇者「あ、いや……」
勇者「(くそぉ……!! くそぉ……!! うまくいかねえぇ!! だが!! 彼女はもう我が手の内!!! なにしたって大丈夫だぁ!!!)」
シスター「……こんな素敵な部屋を取ってくれてありがとうございます。私なんかのために」
勇者「な、何をいっているんですか。それより、シャワーをあびてきてはいかがですか?」
シスター「でも、あの、私はお話を……」
勇者「まずは今日一日の疲れと汚れを落としてくるのがいいかと」
シスター「そ、そうですか? 勇者様は?」
勇者「俺はもう準備万端ですから!!」
シスター「……で、では、お言葉に甘えて」



205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:55:24.11 ID:36thv87Do
勇者「ここまでは恋愛マニュアル通りに事が進んでる……。あとは、タイミングだけだな」
勇者「押し倒すのは絶対にNGだから、優しく肩を抱いて……ベッドに座らせてから……」
シスター「ーーいいお湯でした」
勇者「おぉ!? さ、さっぱりしましたか?」
シスター「はい。あんなに広いお風呂は初めてです。ありがとうございます」
勇者「そうですかそうですか。喜んでもらえて俺も嬉しいです」グイッ
シスター「きゃっ!?」
勇者「……」
シスター「あ、あの……顔が近いです……」
勇者「君の純潔を……僕にくれぇ……」
シスター「な、何を言って……」
勇者「そして……もう結婚を前提に……はぁ……はぁ……」
シスター「あ、あの、待ってください!!!」
勇者「なんすか? 俺、俺、もう……!!」
シスター「貴方と私は……その……腹違いの兄妹なんですよ?」



211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 21:05:49.42 ID:36thv87Do
勇者「……え?」
シスター「今日は……そのことで話を……」
勇者「……」
シスター「私の父と貴方のお父様は同じ人なんです……」
勇者「は?」
シスター「貴方が父の墓前にいつもいるので、おかしいなぁとは思っていたんです」
勇者「はぁ……そうなんすか?」
シスター「母から父がどのような人物なのかは聞いていたので、もしかしたらって思っていたんです」
シスター「色々な場所に淫らな関係をもった女性がいて、それで……何人もの子どもがいることも知っていました……」
勇者「あぁ、親父ならありえそうっすね」
シスター「母に子どもを産ませて責任を放棄し、私が生まれても一度も顔を見に来ることすらなかった父親を私は恨んでいました」
勇者「はぁ……」
シスター「でも居所を突き止めたときには、もう死んでいて……。私にとっては最後まで身勝手な人だった……」
シスター「私は父のことを何も知らないんです。どんな人だったのか、知りたくて私はこの町に住むことを決めました。そして……貴方を知ったんです……」
勇者「へぇー。そっすか。すごいっすね」



212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 21:17:36.95 ID:36thv87Do
シスター「教えてくれますか? 私の父親がどんな人だったのか、どんなことをしていたのか知りたいんです。知った上で……」
勇者「うえで?」
シスター「バカヤローって墓の前で言いたいんです。そうでもしないと気がすまなくて」
勇者「ええと。まぁ、だらしない男だったのはしってるんすよね?」
シスター「はい。でも、それだけです。母も一夜限りの関係だったみたいで……。それ以上のことはわからなくて」
勇者「この町に来てから色々調べたんじゃないんすか?」
シスター「耳にするのは似たような話ばかりです。愛人が何人もいたとか、港の数だけ恋人がいるとか」
勇者「親父め、やりおる」
シスター「でも、勇者様……いえ、兄さんならきっと他のことも知っているんじゃないかって……。違う父の顔が分かるかなって……だって……」
シスター「父が本当に愛していた女性って、兄さんのお母様みたいですから」
勇者「な、なんで?」
シスター「父がこの町に住んでいて、最後に帰ってくる場所はここみたいでしたから」
勇者「それは親父が城の兵士だったからで」
シスター「この町に守りたい人がいるから、ずっとここで兵士をしていたのではないかと私は思っています」
勇者「ま、まぁ、確かに母さんはすげー美人で、色んな人に言い寄られてたみたいっすけどぉ……」



214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 21:28:45.30 ID:36thv87Do
シスター「やっぱり!! どんな人だったんですか!? 教えてください!!」
勇者「ちょ、ちょっと待って!!」
シスター「な、なんですか?」
勇者「……君は親父のことを聞くためだけに、俺の誘いにのったってことか?」
シスター「はい。丁度いい機会でしたので」
勇者「それなら俺の部屋を訪ねてくれたらよかったのでは?」
シスター「勇者である兄さんはとても忙しいみたいでしたから、ご迷惑かなと……」
勇者「俺がホテルを予約する前に、父親のことで話があるとか言ってくれたらよかったのでは?」
シスター「兄さんに……可愛いって言われて……その、嬉しかったんですけど……」
勇者「なんすか」
シスター「あの場で妹ですって告白したら、もう会えなくなるような気がして……」
勇者「……確かに」
シスター「兄さんは私のこと……その……」
勇者「ええ。狙ってました。恋におちてすらいました。君は俺の純粋な気持ちを弄んだのかい?」
シスター「ご、ごめんなさい……そんなつもりは……。でも、こうでもしないと兄さんが逃げてしまいそうだったから……」



217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 21:35:58.07 ID:36thv87Do
勇者「そうかぁ……そうなのかぁ……」
シスター「兄さん……」
勇者「……禁断の愛なんてのもいいかもしれないな」
シスター「え?」
勇者「同じ血は半分しか流れてない。多分、結婚しても大丈夫だよ」
シスター「だ、ダメです!! そんな兄妹でなんて……!!」
勇者「うるせぇぇ!!!」ガバッ!!!
シスター「きゃぁ!?」
勇者「俺は……俺は……この日を糧に……森にいって、狼の群れとも戦ったんだぁ……」
シスター「に、兄さん……」
勇者「今日、俺は……男になるって……きめてたんだぁ……!!!」
シスター「や、やめて……兄さん……」
勇者「ぐ……ぁ……」
シスター「ダメ……兄妹なんだから……こんなのダメ……」
勇者「ぐぁ……ぁぁぁ……ぁぁああああ……!!! うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」



221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 21:46:28.08 ID:36thv87Do
シスター「兄さん……!」
勇者「そうだな!!! 血を分けた兄の誘いだ!!! よっぽどのことがなければ断ったりしねえよなぁ!!!!」
シスター「……うん」
勇者「アーッハッハッハッハ!!!! お前は最高の妹だぜぇ!!!!」
シスター「兄さん、あの……恋人とかにはなれないけど……あの、これからは一緒に住むぐらいはーー」
勇者「フフフハハハハハハハハ!!!!! なぁーんてこったぁぁぁ!!!! こんなに可愛い妹が俺にいたなんてぇ!!!」
勇者「おやじぃ!!! やってくれんじゃねえかぁ!!! 相変わらず、いい仕事してやがるぜぇ!!!! ハーッハッハッハッハッハ!!!!」
シスター「そんな……可愛いなんて……」モジモジ
勇者「俺は幸せものだなぁぁぁ!!!!」
シスター「私もまさか勇者様が兄だったなんて、嬉しいです。こんなに立派な兄がいたなんて母が知ったらきっと喜んでくれます」
勇者「だろうねぇ!! 吉報を手紙にしたためればいいさぁ!!!」
シスター「はいっ。そうします」
勇者「今日はここに泊まっていくといい。兄からのささやかなプレゼントだ」
シスター「え、でも、兄さんから父の話を……」
勇者「いやいやいや!! お前みたいな可愛い妹一晩も一緒とか理性がもたないよ。俺は宿舎に戻るから。金の心配はしなくていいよ。一泊分は払ってあるから。二泊目からは自腹な」



225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 21:57:17.56 ID:36thv87Do
シスター「兄さん、本当にいいんですか? ここ、高かったんですよね?」
勇者「良いっていってるだろ。お前だって広いお風呂に入れて嬉しいっていってたじゃないかぁ」
シスター「そうですけど……でも……兄さんに迷惑を……」
勇者「馬鹿野郎。妹が兄に気を遣うんじゃねえよ」
シスター「兄さん……」
勇者「また会いにくる。そのときたっぷりと話してやるよ。親父のことをさ」
シスター「はい。待っています」
勇者「それじゃ」
シスター「兄さん!」
勇者「なんだ?」
シスター「本当にありがとう。こんなにも綺麗な夜景を見せてくれ」
勇者「お前のほうが何倍も綺麗だよ」
シスター「や、やだ……もう……」
勇者「ふっ……。おやすみ」
シスター「おやすみ、兄さん」



228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:06:11.22 ID:36thv87Do
城下町
勇者「うおぉぉぉぉぉぉお!!!!!!! うおぁぁああああああ!!!!!」
門兵「おい。こんな夜に何を騒いでいるんだ?」
勇者「だまぁぁれぇぇぇ!!!!」
門兵「な、なにかあったのか?」
勇者「うっ……こんな仕打ちあるかよぉ……!!! おれがなにしたっていうんだぁぁよぉ……!!!」
門兵「お、おい」
勇者「ひとなみにもてたいっておもうのが、そんなにつみなのかよぉ!!! なぁ!? 教えてくれよぉ!!!」グイッ
門兵「く、くるしぃ……!!」
勇者「うわぁぁああああああ!!!!!」
門兵「……」
兵士長「なんの騒ぎだ?」
門兵「あ。いえ、その……」
勇者「なんだよぉ……なんでもするからよぉ……おれに……しあわせをすこしだけ……かけらでもいいから……わけてくれよぉ……!!! あぁぁぁ……!!!!」
兵士長「こりゃ、ひでぇな。どんな振られかたしたんだ……」



230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:14:19.47 ID:36thv87Do
酒場
兵士長「ふぃー……。そうかぁ。あの糞野郎の娘だったのか」
勇者「ぐすっ……うぅ……ぅぅ……!!」
兵士長「今日は飲もう。な?」
勇者「せんぱい……嫁さんは……いいん、っすかぁ……?」
兵士長「バーカ。今日は嫁なんざ忘れたよ。気が済むまでのむぞぉ」
勇者「せんぱぁい……!!」
兵士長「ジャンジャン飲め。今日も奢ってやる」
勇者「あざすぅ……!! ーーすんませーん!!!!」
バニー「はぁーい」
勇者「君の心はおいくらですか?」
バニー「生ビールでいいですか?」
勇者「心に空いた穴を貴女の愛で埋めてください」
バニー「畏まりましたぁー。マスター、生おねがいしまーす」テテテッ
勇者「……よし! のむっすよ!! 今日はとことんのんでやるっす!!!」



231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:25:49.19 ID:36thv87Do
勇者「女なんてぇーもうこりごりだぁー!! ちくしょー!!! 女なんてぜったいにもう信用しねぇー!!!」
兵士長「すっ……ぱぁー……」
勇者「おんななんて……おんなんてぇ……!! おれはぁー!! いっしょう、童貞でいい!!! 俺の純潔をクズどもになんぞ、渡してたまるかってんだぁ!!!」
兵士長「おぅ。言ってやれ言ってやれ」
勇者「童貞こそがぁ、俺の誇りっすよぉ。墓まで待っていくっす。きめましたっ!!」
兵士長「素晴らしいねぇ。それでこそ勇者だ」
勇者「ハーッハッハッハッハッハ!!! ヒャーッハッハッハッハッハ!!!! ナーッハッハッハッハッハ!!!! ハーッハッハ……ハァ……」
兵士長「おい、どしたぁ?」
勇者「……せんぱぁい。俺、なんでモテないんすかぁ? 勇者になったのもモテるためなんすよぉ……なのに……なんでっすかぁ……」
兵士長「諦めなけりゃあ、きっといい女がひょっこり現れるって」
勇者「ふんっ。聞き飽きたっすよ。その台詞」
兵士長「悪いな。可愛い後輩を慰めることもできねえ男で」
勇者「まったくっすぅ……。すんませーん!! 酒、おかわりぃー!!!」
バニー「はぁーい、ただいまぁー」
兵士長「(姫の話は明日だな、こりゃ)」



232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:34:59.10 ID:36thv87Do
城下町
兵士長「本当に一人で戻れるか?」
勇者「よゆーっす。俺をだぁれだと、おもってんすかぁ? 天下無敵の勇者様っすよぉ? ひーっひっひっひ」
兵士長「姫が待ってんだろ。早く戻ってやりな」
勇者「ひめぇ!? へんっ。あんなクソガキなんてぇ、どぉーでもいいんすよぉ!!!」
兵士長「そういうなよ。お前のこと頼りにしてんだから」
勇者「あいつがもっとボインボインならやる気がでたんすけどねぇー」
兵士長「あと5年は様子みてやれよ」
勇者「おれは!! 今すぐ!! ほしいんです!! 彼女がぁ!! 嫁がぁ!! 伴侶がぁぁ!!!!」
兵士長「分かった分かった。もう休め」
勇者「今日は、あざしたぁ!!」
兵士長「はい。お疲れさん」
勇者「先輩!!! おれぇ!! まけねえっすからぁ!!!」
兵士長「おーぅ。しっかりやれ」
勇者「もうね!! 悟りましたからぁ!!! モテたいとか思わないっす!!!! うっひょぉぉ!!! イェーイ!!!! どっからでもかかってこいやぁぁ!!!」



233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:41:27.28 ID:36thv87Do
勇者「あー……せかいがまわってるなぁ……。もっと歪めばいいんだぁよぉ。世界が歪めばよぉ、俺がモテモテになる世界に変わるかも……なぁ……」
勇者「ハハハハハハハ!!! 世界がひっくりかえったって、そんなことあるわけねぇええかぁ!!!!」
勇者「……かえろ」
「グルルルル……」
勇者「あん?」
狼「グルルル……!!」
勇者「なんだぁ、でけえ犬畜生だなぁぁ。やるかぁ! こいよぉ!! おらおら!!」
魔女「随分と酔っているようね」
勇者「お前……は……」
魔女「ふふ……。あの子はどこかしら?」
勇者「あぁん? いうわけねえだろぉ、ぶぁーか!!」
魔女「そんなこと言わないで」スリスリ
勇者「おっほぉ……なにすんだよぉ……?」
魔女「教えてくれたら、いいことしてあげるわよ?」
勇者「マジっすかぁ……? へへっ、どぉーしよっかなぁ……」



234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:46:31.74 ID:36thv87Do
宿舎 勇者の部屋
狼少女「あぅ……あぅ……」ウトウト
勇者「おーい!! もどったぞぉい!!!」
狼少女「ぅあ!? 戻ったか!?」
勇者「おーぅ。いい子にしてたかぁ?」ナデナデ
狼少女「あい!」
魔女「ーーやっと会えたわ」
狼少女「え……」
魔女「さぁ、帰るわよ」
狼少女「あぅ……やだぁ……」
魔女「聞き分けのないこと言わないの。完全に薬の効果が消えているわね……」
狼少女「うあぁぁ……!!」
勇者「どしたぁ?」
狼少女「あ……ぅ……」ギュッ
勇者「んだよぉ……はなせよ……」



235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:51:50.38 ID:36thv87Do
魔女「みんな待っているわよ」
狼少女「い、いや……!! いやぁ!!」
魔女「……」
狼少女「こいつについていく!! そう決めた!!」
魔女「ふんっ!!」パシンッ!!!
狼少女「あぅ!?」
勇者「あーらら……」
魔女「行くわよ」グイッ
狼少女「た、たすけ……」
勇者「……」
魔女「ありがとう、勇者様。もう二度と会うことはないわ」
勇者「おい、まてよぉ。いいことしてくれんだろぉ? ほら、脱いでくださいよぉ。ほれほれぇ」
魔女「……いけ」
狼「グルルルル……」
勇者「なんだぁ? 獣とヤレってかぁ!? そこまでおちぶれちゃいねえぞぉ。こらぁ!!」



236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 22:57:21.87 ID:36thv87Do
魔女「さようなら」
狼少女「あぁ……!!」
狼「ガァァァウ!!!」
勇者「ーー邪魔だ、おらぁ!!!!」ドガァ!!!!
狼「ガッ……!?」
魔女「うそ……!? 素手で……!?」
勇者「いいことしてくれんだろぉ!? 俺は約束守ったのにぃ、そりゃあねえだろぉ!?」
狼「グルル……」
勇者「やらしてくれるんじゃねえのかよぉ!! 冗談じゃねえぞ!!! おらぁ!!! 女性不信になっちまうぞ!!! あぁぁ!! いいのかぁ!?」
魔女「(これ以上、騒がれたら……)」
「まーた勇者殿が騒いでるみたいだなぁ」
「一応、様子見にいくかぁ」
魔女「ちぃ……」
勇者「約束守る気ねえなら、そいつ置いてけぇ」
狼少女「たすけて……」



237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:05:08.30 ID:36thv87Do
勇者「今は虫の居所が果てしなくわりぃんだ……。美人でも容赦しねえぞ……こらぁ……!!」
魔女「置いていけですって。誘拐しておいてよくいう」
勇者「誘拐だぁ? あんたこそ、こいつをどっかから攫ってきたんだろぉ……?」
魔女「……」
勇者「なんとかいえーー」
狼「ガァァァアウ!!!!」
勇者「なんだ犬畜生!!! 人間様に勝てるとおもってんのかぁぁぁ!!!!」
魔女「(今のうちね)」グイッ
狼少女「いや……いやぁ……!!」
魔女「くっ。仕方ない。ここで薬を……」
狼少女「ちゅうしゃ……いやぁー!!」
兵士「誰だ!!」
魔女「大人しくしなさい!!」
狼少女「ガルルルル……!!!!」
兵士「その子をどうするつもりだ!!」



238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:11:43.80 ID:36thv87Do
魔女「ーーいい機会だわ。さぁ、行きなさい」
狼少女「……」
兵士「どうした? 早くこちらにーー」
狼少女「アァァァァウ!!!!!」
兵士「な……!?」
魔女「ふふ……。大人を圧倒できればそれでいい」
狼少女「ガァァァァウ!!!」
兵士「くっ……!! 勇者殿!!! 勇者どのー!!!」
勇者「なんっすかぁ!!!」
兵士「一体、これは……!!」
勇者「あぁ!? そいつが魔女っす!! つかまえろぉ!!!」
兵士「魔女……!! 敵襲ー!!! 魔女だぁー!!!」
魔女「(薬の効果のほどは見れた……。まだ捕まるわけにはいかないわ……)」
魔女「もういいわ!! 行くわよ!!」
狼少女「あい!!」



240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:18:25.48 ID:36thv87Do
狼「ガァァァァウ!!!」
勇者「この……!!! どけおらぁ!!!」ドガッ!!!
狼「グルルル……!!」
勇者「魔女は!?」
兵士「町のほうへ逃げました!! 追います!!」
勇者「たのむっす」
勇者「(あれだけ怒ってたから取り戻しにくることは予想してたけど、結構早かったなぁ……。くそ、酒のむんじゃなかった……)」
狼「グルルル……」
勇者「まだやるかぁ?」
狼「……」
勇者「……なんだ?」
狼「……ガウっ」ダダダッ
勇者「あ、逃げた」
勇者「んじゃ、あとを追わせてもらうぞ」
勇者「うわぁぁああああ!!!!」ダダダッ



242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:25:45.16 ID:36thv87Do
城下町
魔女「ふふふ……。よかったわぁ。取り戻せて」
狼少女「……」
魔女「貴女がいないと、寂しいもの」
兵士長「ーーどこいくんだ。こんな夜更けによぉ」
魔女「……ちっ」
兵士長「まさか、魔女から来てくれるとは思わなかったぜぇ。助かった」
魔女「通してもらえるかしら?」
狼少女「……」
兵士長「ふぃー……。姫を人質にするつもりか」
魔女「本当はしたくないのだけどね」
兵士長「くだらねえ脅しはやめろ。お前が姫を殺すのは勝手だ。それでも俺はお前を捕まえるぜ」
魔女「……捕まえる?」
兵士長「あんたを連れて来いって言われてんだよ」
魔女「そうなの……。てっきり、殺されるのかと思っていたけど、ふぅーん。そうなの……」



243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:31:22.35 ID:36thv87Do
兵士長「なに?」
魔女「それって国王が私に会いたがっているってことよね」
兵士長「……」
魔女「ふふふ……。そう。なら、話が違ってくるわね」
兵士長「なんだと?」
狼「ガァァウ!!」
兵士長「おぉ!?」
勇者「にがさんぞぉぉ!!!」
兵士長「お前!!」
勇者「あ、先輩! ちっす!! なにしてんすかぁ?」
兵士長「てめぇがちゃんと戻れたかどうか確かめてこいって嫁に言われてな。そしたらお祭りが始まってやがったんだ」
勇者「できた嫁さんっすねぇー」
兵士長「てめぇこそ、なにしてやがる。姫を奪われてんじゃねえか!!」
勇者「酒が入ってなけりゃあ、こんなことはなかったっす!!」
兵士長「どーだかぁ。素面でもハニートラップに引っかかってたんじゃねえの?」



244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:37:06.07 ID:36thv87Do
勇者「それは否定しないっすけど……」
兵士長「ったく、減給ものの失態だぞ」
勇者「……反省してるっす」
狼少女「アァ……ゥ……」
勇者「さぁ、魔女さん。返してもらいましょうか」
兵士長「残念だけどなぁ。姫はあんたよりも、勇者のほうが好きらしいぜ」
魔女「……新旧の勇者に追い詰められては逃げ場はないわね」
勇者「諦めたっすかぁ。素直じゃないっすか」
魔女「お手上げね。好きにするといいわ」
兵士長「……」
魔女「何?」
兵士長「いや。こっちにこい」
魔女「はいはい。あ、勇者様。この子のことよろしくね」
勇者「(なんだ……?)」
狼少女「アァ……ォ……ウ……」



246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:42:55.18 ID:36thv87Do
勇者「おい、大丈夫か?」
狼少女「アァ……ウゥ……」
勇者「そうだ。薬を……」
狼少女「アァァ……ウゥゥ……」ギュッ
勇者「……」
狼少女「アァァ……ぁぁ……」
勇者「悪かったよ。守ってやれなくて」
狼少女「う、そ……つき……」
勇者「ごめん」
狼少女「あぅ……ゆる、さない……」
勇者「……すまん」
狼「……」
勇者「なんだ? 取り戻すつもりか? やれるもんなら……」
狼「……」タタタッ
勇者「……魔女といい狼といい。何がしたいんだか」



248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:48:22.20 ID:36thv87Do
城内 謁見の間
魔女「……」
王「おぉ……。でかしたぞ」
兵士長「いえ」
王「魔女よ。各地で起こっている事件に関わっているのは分かっている。弁明はあるか?」
魔女「ないわ。全部私がやったことだもの」
王「何のためにだ」
魔女「……知ってるくせに」
王「……」
兵士長「陛下、あの……」
王「地下牢に放り込んでおけ」
兵士長「はっ。こいっ」
魔女「痛くしないで欲しいわ」
兵士長「つべこべいうな」
魔女「はいはい」



249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 23:56:35.32 ID:36thv87Do
宿舎 勇者の部屋
勇者「あーあ、部屋の中、滅茶苦茶だなぁ。ここまで滅茶苦茶だと片付ける気もおきねー」
狼少女「……」
勇者「んだよぉ。謝ってんだろぉ。もう二度とあんなことには……」
狼少女「……っ」ギュッ
勇者「怪我してるのか?」
狼少女「お前、どこか行くの禁止な」
勇者「……そうだな。もういかねえよ」
狼少女「本当か?」
勇者「ああ。もう行くところがなくなったしなぁ……。それより、どこかおかしいところはないか?」
狼少女「うー……?」
勇者「なんでもいい。どっか痛いとか、苦しいとか」
狼少女「ある。胸だ。胸が苦しい」
勇者「胸だぁ? どう苦しいんだ?」
狼少女「なんか、きゅーって締め付けられてる感じがするぞ! どうにかしろ!!」



252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:04:48.10 ID:W9YT+3P1o
勇者「よくわかんねえけど、痛み止め飲んどくか?」
狼少女「薬はいやだ。ちゅうしゃもいやだ」
勇者「我侭いうなよ。死にたいのか?」
狼少女「わかった! これ恋わずらいだ!! 多分そうだ!! あの本に書いてた!!」
勇者「はいはい。そんな相手いねえだろ、お前」
狼少女「あぇ? ちがうのか?」
兵士長「ーーよう、ご両人。仲いいねぇ。まるで恋人同士じゃねえのぉ」
勇者「先輩。魔女はどうなったっすか?」
兵士長「今は地下牢だ。それよりな……」
勇者「なんすか?」
兵士長「嫌な予感がするんだ。どうにも面倒なことになりそうだ」
勇者「はっきり言ってくださいよ」
兵士長「なぁ、姫。母親はいないって言ってたけど、それって死んだってことか? それともどこかに行ったのか?」
狼少女「母親はいない!」
兵士長「姫の生みの親はいるだろ? まだ生きてんじゃねえのか? 教えてくれねえか。大事なことなんだよ」



253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:17:39.81 ID:W9YT+3P1o
狼少女「いない!!」
勇者「まさか……お前……」
狼少女「私に母親なんていない!!」
兵士長「薬漬けにしてくるような奴を母親とは認めたくないってことでいいか?」
勇者「……魔女が母親なのか?」
狼少女「……」
兵士長「わざわざリスク背負ってまで取り戻しに来た理由がわかったな。歪んではいるがあれで娘を愛してるんだろうぜ」
勇者「実の娘に嫌われてるじゃないっすか」
兵士長「ハハッ。確かにな。じゃ、次の問題だ」
勇者「薬で父親は狼だと思い込まされていて、正気に戻れば『父親はよくわからない』でしたもんね」
兵士長「姫。父親が誰なのか知らないんだろ?」
狼少女「よくわからない」
勇者「先輩、心当たりでもあるんすか?」
兵士長「調べてみないとわからんが……。姫は本物の姫様かもしれねえな」
狼少女「あぅ?」



254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:24:55.41 ID:W9YT+3P1o
地下牢
王「……」
衛兵「国王陛下!! な、何故ここへ!?」
王「席を外してくれ」
衛兵「し、しかし……今ここには……」
王「命令だ」
衛兵「はっ! 失礼しました!!」
王「うむ……」
魔女「ーーふふ。明日まで待てなかったのかしら?」
王「……」
魔女「変わらないわね。せっかちな人」
王「会いたかったぞ」
魔女「どうして?」
王「お前を愛しているからに決まっている」
魔女「嬉しいわ。私もよ、アナタ。うふふふ……」



255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:34:07.46 ID:W9YT+3P1o
宿舎 勇者の部屋
勇者「……」
狼少女「姫か。私、姫なのか」
勇者「まだわかんねえだろ。かもしれないってだけで」
狼少女「姫か! なんかかっこいいな!!」
勇者「そうか?」
狼少女「お前に命令できるか!?」
勇者「まぁ、できるな」
狼少女「よし! 私、姫になるぞ!! それでお前に命令する!!」
勇者「なんて命令する気だ?」
狼少女「私から離れるな!!」
勇者「すみません、その命令はきけません。姫、調子にのるのも大概にしろよ」
狼少女「ガルルルー!!!」ガブッ
勇者「やめろよ。汚いだろうが」
勇者「(姫か……。国王と妃の間に子どもがいたとは聞いたことないし……。だとしたら魔女は陛下の側室か何かだったってことになるか……?)」



256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:46:32.89 ID:W9YT+3P1o
翌朝 城内
兵士「隊長!!」
兵士長「すまんな。どうだった?」
兵士「公式記録ではないのですが、気になる文書を見つけました」
兵士長「そうか。やはり大臣クラスが隠していたか」
兵士「この事実を知っていたのは恐らく当時勇者であった……」
兵士長「わぁーってる。城下町の種馬だろ」
兵士「はい。彼は特命で魔女狩りを行っています」
兵士長「それはどういう理由でだ?」
兵士「姫君の奪還と妃を殺害した魔女を捕らえるためです」
兵士長「あの二人の間に子どもはできなかったからな。側室との間にできた赤子をそのまま姫にするしかなかったわけだ」
兵士「そういうことになりますね」
兵士長「糞野郎を殺したのはあの魔女だったか……」
兵士「おや? なんでしょうか、靄が……」
兵士長「んぅ? こりゃ霧か……? 城の中で霧なんて……」



257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:54:58.98 ID:W9YT+3P1o
宿舎 勇者の部屋
勇者「でへへへへ……ついに、おれも……ハーレムを完成させたぞぉぉ……」
狼少女「おい!! 起きろ!!」
勇者「あぁ……。うっせぇなぁ……もうすこしねかせろぉい……」
狼少女「お、き、ろー!!!」デーンッ
勇者「ごふっ!? なにしやがる!? のしかかってくるんじゃねえよ!!」
狼少女「霧!! 霧だ!!」
勇者「霧だぁ?」
狼少女「うぅぅー……!!」ギュゥゥ
勇者「……おい。これ半分持ってろ」
狼少女「これ……薬……」
勇者「自分がおかしくなったと思ったら飲め。気休めにはなる。わかったか?」
狼少女「あ、あい……。お前、どこいく?」
勇者「とりあえず陛下に会いにいってみるかぁ」
狼少女「か、かえってこいよ!! 約束だ!!!」



258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:02:01.16 ID:W9YT+3P1o
勇者「何言ってんだ。お前もこい」
狼少女「あぇ!?」
勇者「なんだよ? 嫌なのか?」
狼少女「だって……おかしくなって、お前傷つけるの……いやだ……」
勇者「俺を誰だと思ってんだ? お前みたいなガキに傷なんてつけられるわけないだろ?」
狼少女「バカにすんなー!!!」ガブッ
勇者「おーし、いくぞぉ」ガチャ
狼少女「あい!」
勇者「(うわぁ……。すげぇ、霧だな……。本当に霧ならいいけど……)」
衛兵「勇者殿。おはようございます」
勇者「うーっす。何か異常はないっすか?」
衛兵「見るからに異常でしょう。この濃霧ですし」
勇者「町で発生はしてないっすか?」
衛兵「ええ。城の敷地内だけみたいです」
勇者「それはそれは。作為的っすねぇ」



259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:07:18.89 ID:W9YT+3P1o
謁見の間
勇者「陛下!!」
狼少女「ガルルル……」
王「……勇者よ。どうした?」
勇者「この霧、原因は?」
王「何故、私に訊く?」
勇者「そりゃ……」
魔女「ーー不敬罪で死刑するわよ?」
勇者「お前……!!」
狼少女「あぅ……あぅ……」
魔女「その子を返してくれるなら、許してあげてもいいけどね」
勇者「……」
狼少女「うぅ……!!」ギュゥゥ
王「勇者よ。言うとおりにしてくれないか。その娘はとても大事な存在なのだ」
勇者「大事? 次期女王陛下だからですか?」



260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:21:11.40 ID:W9YT+3P1o
魔女「あら。知っていたの? お父さんから聞いたのかしら?」
勇者「(親父……?)」
王「その通りだ。その娘は私の血が通っている。ずっと、ずっと探していたのだ」
勇者「だから、魔女を探してたと?」
王「そうだ。そして今日、この日。全てが揃った。妻と娘が戻ってきたのだ」
勇者「陛下。貴女の隣にいるのは魔女なのですよ?」
王「知っている」
勇者「そいつが何をしようとしていたのかも知っているのですか!?」
王「無論だ。幻覚剤を用いて、国内を混乱させ、国を滅ぼそうとしていた」
勇者「な……!?」
王「動物は人間を見れば容赦なく牙を剥き、人間は人間を発作的に殺害する。そんな強力な薬だ」
王「こうして霧のように散布することで小さな町なら簡単に壊滅させることができる。画期的な兵器と言えよう」
勇者「陛下……何をいっているのですか……」
王「お前には分からんか? 愛した女がしたことだ。私はこれらを受け入れる。妻の兵器は世界を征服できるだけの力もあるしな」
勇者「本気でいってんすか?」



261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:33:23.30 ID:W9YT+3P1o
魔女「素敵よ。アナタ」ギュッ
王「ふふはははは……」
勇者「……っ」
狼少女「あぅ……」
王「勇者よ。さぁ、娘を渡してくれ。今まで世話をしてくれていたそうだな。ご苦労だった。お前には特別報酬をくれてやろう」
勇者「陛下!! 正気っすか!?」
王「私はな、この魔女に身も心を奪われている。前妻が死んだあのときからな」
勇者「それも魔女の仕業じゃないんすか?」
王「そう。この魔女が殺した。嫉妬に狂ってな」
勇者「頭おかしいっすよ」
王「それだけ私のことを想ってくれているということだ。ここまでされると考え方も変わる」
魔女「ごめんね。私、アナタが怒ってると思ってずっと逃げてたの」
王「私のほうこそ悪かったな。お前が腹を痛めて産んだ子を渡せと言ったばかりに傷つけてしまった。思慮が足りなかったよ」
魔女「いいのよぉ。私もずっとアナタのことを愛していたからこそ恨んでいたけど、こうして一緒になれるんですもの……。もう許してあげるっ」ギュッ
勇者「……」



263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:45:07.41 ID:W9YT+3P1o
魔女「勇者様。そういうわけで、私の娘を返してください」
勇者「こいつに何するつもりっすか?」
魔女「なにって、その子は新しい兵隊なのよ」
勇者「兵隊……!?」
王「特別な薬を投与することで極限まで身体能力を発揮することができるそうでな。子どもであろうとも兵士を制圧できるという優れものだ」
勇者「あぁ、そうっすかぁ……。狼と一緒に行動させてたのは野生児っぽくみせるためとかか!!」
魔女「そうよ。そのほうが違和感ないでしょ? 奇声をあげたり、叫んだりしていても」
勇者「(ってことは、こいつは普通の女の子なんじゃないか……)」
狼少女「ぅ……あぅ……」
王「次期女王にして最高の兵士だ。それに姫自らが戦場に立てば士気もあがるというもの」
魔女「もう。そんなことにはならないでしょっ。私の幻覚剤があるんだしっ」
王「それもそうだな。でも、娘にも活躍の場がないとなぁ。可哀相だろう」
魔女「考えておくわっ。うふっ」
王「うむ。頼むぞ」
勇者「……っ」ピクッ



264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:54:25.50 ID:W9YT+3P1o
王「納得できたか、勇者よ。娘を置いてーー」
勇者「断る!!!」
王「……なんだと?」
勇者「断るっす!! この魔王!! よりにもよって俺の前で美人の魔女とイチャイチャしやがって!!! あーもう!! はらたつぅ!!!! 死ね!! 死ね!!」
王「勇者よ。お前はわが国の一兵士だ。勇者というのは称号にすぎんぞ。特別な権限などないし、ましては私に逆らうなど言語道断」
魔女「そうよ。勇者は国のため、王のために働く最強の兵士でしょう?」
勇者「国のため? 王のため? はんっ!! ちゃんちゃらおかしいっす!!!」
王「貴様……!!」
勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
魔女「フフフ……。お父さんにそっくりねぇ」
王「ならば、どうあっても娘をよこさぬというんだな」
勇者「わたすかぁ!!! ぼけぇ!! 子ども欲しかったらもう一回つくれ!!」
魔女「そのつもりよ。ねー?」
王「こらこら。恥ずかしいだろう。はははははは」
勇者「うわぁぁぁあああ!!!! いい加減にしろぉ!!!!」



266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:02:11.13 ID:W9YT+3P1o
狼少女「だ、大丈夫か?」
勇者「行くぞ!! こんな国なんざこっちから願い下げだぁ!! あー!! やってらんねえ!! マジつまんねえ!!!」
狼少女「あぅ……でも……」
勇者「俺についてくるか、それとも魔女と魔王のところに残るか。ここで決めろ!!」
狼少女「そ、そんなのお前についていくに決まってる!!」
勇者「おーし!! いい子だぁ!! 初めてお前が可愛く思えるぞぉ」
狼少女「か、可愛いか!! 私、可愛いか!?」
勇者「おう。すんげー、可愛い」
狼少女「おぉー!!」
王「……お前の決意はわかった。だが、簡単にはいかんぞ?」
勇者「ふんだっ。止められるもんなら……とめてみろ!!!」ダダダッ
狼少女「わぁぁー」タタタッ
勇者「こんな町にもう未練なんざねぇ!!!」
王「ーー反逆者が逃げたぞ!!! 捕らえなくてもよい!! 殺せ!!! ただし娘には傷一つつけるなぁ!!!」
魔女「馬鹿な男。ホント、救いようがないほどに」



267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:07:47.70 ID:W9YT+3P1o
兵士「勇者殿が反逆者……!?」
兵士長「なーにしやがった、あのやろぉ。先走りやがって」
勇者「ーーげぇ!? 先輩!?」
狼少女「あぇ!?」
兵士長「馬鹿野郎。国に喧嘩なんざ売りやがって」
勇者「先輩でも容赦はしないっすよ」
兵士長「……」シャキン
勇者「……」
兵士長「はぁぁあああ!!!」
勇者「こんのぉ!!!」
狼少女「わぁぁぁー!!!」ダダダッ
兵士長「なに!?」
狼少女「ガァァァァウ!!!!」ドガッ!!!!
兵士長「ぐぁ……!?」
勇者「ナイス!! 今のうちだ!!」
posted by 2ch 良スレ話系のまとめ at 23:19 | Comment(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: